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SEOも大事ですが、RPOも考えましょうね。(2)
2015年 06月 23日
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昨日書いた記事
の中で「文章は短い方が良いから省略する」と言うWEB制作会社の「文章の書き方」コンテンツが間違っていると言う話を書きましたが、この
●文章は短い方が名文である
と言う意見は、ほとんど都市伝説、根拠のない言い伝えのように「文章の良しあし」を分かっていない人の間に広がっていて、そのような誤解に対しては、はっきりNoと言っておかねばなりません。
この「短い方が良い」という単純すぎる価値観は、「紙」という面積が限られたメディア特性によって生まれた「慣習」でしかありません。
はっきり言って、1ページの長さが規定されていないWEBの時代には、すでに大きな意味を持たなくなった価値観と言えるでしょう。
なにより、「短文が名文」というのは、紙が発明された後に生まれた価値観なのであって、それ以前にはそんな価値観があったはずはないのです。
紙が生まれる前は人と人とが顔をつきあわせて話をしていたはずで、面談をするなら、基準は、「分かりあえるまで」に決まっています。誤解がないように確認しながらコミュニケーションするというのがいちばん大きくて大切なルールであり、それは、紙が生まれる前から、現在にいたるまで何も変っていない大原則です。
つまり、WEBで「長さを気にせず書けるようになった」というのは、本来のコミュニケーションのあり方に戻ってきたとも考えられるわけです。
これらの事を総合して考えれば、文章を短くして誤解が生まれるくらいなら、たとえ「名文」ではなくても情報量は多い方が良いと考えるのが科学的態度と言うものです。
にもかかわらず、そのWEBの専門家であるはずのWEB制作会社の、「良い文章のあり方」が、「短文は名文」というありきたりの「紙時代の慣習」にとらわれていて、プロのライターの「WEBなら長くても良いじゃない?」という意見と、こんなに大きく違うのでしょうか?
どう考えても、逆の立場の意見に聞こえますよね?
WEB制作会社の人なら、「WEBの時代は長くて良いのだ」と言い、
昔ながらのライターなら「名文は短文だ!」と言いそうなものです。
でも、実際は逆になってるんです。
おかしいと思いませんか?
いったい、どこでこんな違いが生まれているのでしょうか?
その秘密を、昨日紹介したWEB制作会社さんの「文章添削基準」である、以下の「削除項目」から少しずつ推理してみましょう。
●誰もが分かっている当たり前のこと
●すでに説明されていて、同じ事を言ってるだけのこと
●「という」「のような」「であること」などの直接意味がない言葉
●「すべて」「多くの」「一部の」などの形容詞や副詞で書かなくても伝わる場合
●「構成するメンバー」とムダな説明が加わっている場合
●「しかし」「だから」「それゆえ」などの接続し(なくなっても話の流れがおかしくならない場合)
ここに示された条件群が、このWEB制作会社さんの「削った方が良い項目」なんですね。
そして僕はこれらを、「削らない方が良く伝わる要素」と考えています。
このあたりが、大きな分岐点になりそうです。
さて、では、上記の「削るべき要素」を少し整理して見て見ると、大きくは二つのテーマであることがわかります。
まず、ひとつ目が、
●誰もが分かっている当たり前のこと
●「すべて」「多くの」「一部の」などの形容詞や副詞で書かなくても伝わる場合
の二つ。この二つに共通しているのは実は、「みんな分かってる」「書かなくても伝わる事」という要素です。
こういう要素を削りたがる人はすごく多いです。でも、ここで言う「誰もが分かる」「書かなくても伝わる」というのは、いったい誰の事、どういう場合の事を言っているのでしょうか?
元々WEBにしろ、パンフレットにしろ、不特定多数に向けたメディアは、誰が読むのか分からないわけです。ですから、読み手の頭の中にその「知ってるはず」の情報があるかどうかの保証はありません。ですから、本当の事を言えば「不特定多数に向けたメディアでは、すべての事柄を全部説明しておくのが正しい」と考えるべきなのです。もっと極端に言うなら不特定多数を対象にしたメディアにおいて、「誰もが分かっている当たり前の事」など、論理的には存在しない、という事になるわけです。
だから、この二つの削除項目は「完全に間違い」となります。
二つ目は、
●すでに説明されていて、同じ事を言ってるだけのこと
●「という」「のような」「であること」などの直接意味がない言葉
●「構成するメンバー」とムダな説明が加わっている場合
●「しかし」「だから」「それゆえ」などの接続詞(なくなっても話の流れがおかしくならない場合)
の四項目に通じる、「ムダの排除」です。
ここで指摘されている「ムダ」は、「同じ事の繰り返し」「直接意味のない言葉」「ムダな説明」「過剰な接続詞」の四つですが、これらは僕に言わせると
・重要な要素は一文の中で繰り返し表現されなければ印象に残らず理解されにくい
・意味のある言葉だけで文章が構成されていると、意味内容が濃くなりすぎて理解しにくくなる。(「という」などのつなぎ言葉で「間」を取らないと読者の理解がおいつかない)
・説明を重ねて強調することで、話の流れのポイントが明確になり理解しやすい文章になる。
・段落が順接でつながるか、逆接でつながるかは、あらかじめ接続詞によって予告されていないと、その後に続く段落が理解しにくい
という事になりまして、このあたりは、文章の書き方の初歩の初歩です。
ですから、このWEB制作会社さんの「文章教室」というのは、かなりおかしな基準で構築されていることになるわけです。
では、いったい、その「基準」とは何なのでしょうか?
これは実は「SEO」なのです。
WEB制作会社さんのほとんどは、SEOを大事にされます。最優先で大切と考えていると言ってもいいでしょう。
それに引き換え、僕が何を基準にしているかと言うとRPOなんです。
つまり、SEOを大切にするのか、RPOを大切にするのか? という「基準値の違い」が、これだけの価値観の違いを生み出しているわけです。
SEOというのはサーチエンジン・オプティマイゼイション(検索エンジン最適化)の事であり、Googleをはじめとした検索サイトから、いかに高評価をもらって高い順位に表示してもらうか?という考え方です。
RPOというのは、リーディング・パーソン・オプティマイゼイション(読書作業者最適化)の事であり、「いま原稿を読んでいる人の意識に最適な原稿を作成する」という考え方の事です。
つまり、SEOが「機械に合わせた考え方」であるとしたら、RPOは「人に合わせた考え方」だという事です。つまり「対象」が違うから、結果としての答えが、これだけ大きくなるわけです。
しかし、SEOというのは、検索エンジン最大手のGoogleが掲げた考え方でもなんでもなくて、Googleに上位表示されたいがための「ノウハウ」の総称として出てきたに過ぎないわけです。(調べてみたんですが、誰が言いだした言葉なのかがよく分からないんですよねぇ。ご存知の方がおられたら教えてください。)
じゃ、当のGoogleは何を基準にしているかというと、まさに「読み手の利益が最大化する検索結果」を考えているわけです。実は、SEOではなくて、RPOなんです。実際、少し前にGoogleが行ったパンダアップデート、ペンギンアップデートなどは、まさに「機械的リンクなどを排除する仕組み」だったと言えるわけですしね。
これらのアップデートによって、いきなり検索サイト表示が下位になって、売上が下がった企業も多いと聞きます。SEOの考え方でサイトを設計していたら、あたふたあたふたとしなければなりません。しかし、RPOの考え方でページを作っていれば、そういう事はないはずです。とどのつまり、読み手のためになるからです。
確かにWEBの世界は技術革新のスピードが半端なく速いですし、気を抜けばあっと言う間においてけぼりをくらう弱肉強食の業界という側面はありますから、WEB制作会社さんが技術志向に陥って「人間」「読み手」を忘れてしまうという事が起こりがちなのもよく分かります。
しかし、極論を言ってしまえば、「検索エンジン対策」は「機械」を相手にする考え方であり、「読者の意識対策」は「人間」を相手にする考え方だということ。そして、5年でも10年でも長い時間を経て効果を望めるのは「人間」を相手にした対策だ、という事は、もう少し頭においても良いのではないかと思います。
何より、WEBの世界は、RPOの考え方で人間志向で行くと、それこそSEOとかの略語ではったりをかませて「すごい事やってるんだぞ」的なアプローチはしなくなってきます。「機械の応対するより人間の相手をしてる方が楽しいよね」という言い方になる。
そういう事の方が大切なんじゃないですかね。
ちなみに、RPOの提唱者というのはどなたかご存知ですか?
何を隠そう、この私なのであります。ははは。
ライターは、こういう具合に「業界用語」だって創出できてしまったりするんですよ。RPOだから。
ま、そういう事です。
[了]
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